資格を満たす医師や、所定の研修を修了した看護師は、自院の職員の実施者になれます。ただし、その職員の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位にある人は、その職員の検査の実施の事務に従事できません。
資格の面:医師は研修不要、看護師は研修が必要
実施者になれる資格は、労働安全衛生規則 第52条の10 第1項に定められています。医師は研修なしで、看護師は所定の研修を修了していれば、資格の面では実施者になれます。院内に看護師がいても、研修を修了していなければ実施者にはなれません。クリニックの中の人だから、という理由で資格が緩くなることはありません。
立場の面:解雇・昇進・異動の権限があるか
資格があっても、労働安全衛生規則 第52条の10 第2項は、「解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」は検査の実施の事務に従事してはならない、と定めています。厚生労働省のQ&A(Q6-5)は、病院長について「病院長は一般的に人事権を持っていると考えられるので、実施者にはなれません」としています。院長が医師であっても、資格だけでは自院の実施者になれないということです。
では、院内の医師や看護師はどうでしょうか。権限の及ぶ範囲は人によって違うため、職員ごとに、自分がその人の解雇・昇進・異動に直接の権限を持つ監督的地位にあるかどうかで考えることになる、と考えられます。条文は「実施の事務」に従事してはならないと定めているので、制限は実施者だけでなく、実施者を手伝う実施事務従事者にも及びます。
院内に条件を満たす人がいないときは
院内に資格と立場の両方を満たす人が見当たらないときは、外部への委託も選べます。小規模事業場マニュアル p.11 は、労働者のプライバシー保護の観点から、実施を外部機関に委託することが推奨されるとしています。